えひめハタラク研究所

仕事のこと私事のこと/愛媛県/27歳/社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

退職月の社会保険について考えてみた【vol.015_ハタラク通信】

キャリアアップのための転職が当たり前になり、「転職」はもはや人生の一大事ではなく、通過点となっているなぁと感じます。

かくいう私は、18歳で就職してから、出向や派遣先雇用なども含めて、8年間で5つの会社にお世話になってきました…(え??多い??(=▽=;)

今日は、「退職月の社会保険」について考えてみたいと思います。

前提条件…A子さん 35歳
形態:月給、正社員
勤続:2年
年収:300万円(月給25万円、ボーナスなし)
家族:夫(会社員・職場で社保加入)、3歳の子供が1人(Aさんの扶養)
社保:厚生年金、健康保険(協会けんぽ)適用事業所
給料:20日締め当月末日払い(3/21~4/20に働いた分の給料が、4/30に支払われる)
退職日:4/20


まず、健康保険・厚生年金ともに押さえておきたいのは
「支払った保険料」「被保険者期間」は必ずしも一致しない!ということ。

保険料を1カ月分納めたからといって、健康保険が1カ月分使えるわけではないのです。
f:id:hiraokasr:20190513225449p:plain
↑↑ざっくりイメージ図。B社にいた期間は20日程度ですが、4/30に在籍していたのがB社なので、B社で1か月分の保険料を支払う必要があります。
年金も、健康保険も、保険料は1カ月単位でかかり、日割りはできません。

1. 健康保険

被保険者となるのは「事業所に使用されるに至った日」から「事業所に使用されなくなった日」までです。
A子さんは、
4/20には、健康保険を使って、病院での治療を受けられますが
4/21(退職日の翌日)には健康保険を使って治療を受けることはできなくなってしまいます

次の職場で働き始めるまでの期間、Aさんの選択肢は3つです。

① 退職前の健康保険を「任意継続」する
② 市町村の「国民健康保険」に加入する
③ 家族の健康保険の「被扶養者」になる

①任意継続…

5/10まで(退職日の翌日から20日以内)に、全国健康保険協会に申し出て、次の職場に就職するまで(最長2年)、続けて健康保険の被保険者になることができます。
A子さんの保険料の自己負担は毎月約13,000円でした。
任意継続被保険者になると、会社が負担していた分の保険料も支払うため
保険料額は約26,000円になります。

国民健康保険

国民健康保険は、都道府県と市町村が運営しています。
A子さんは、自分と子供が加入する場合の保険料を市役所に問い合わせてみました。
自己都合退職の場合は保険料の減免を受けることができず、
保険料額は約36,000円でした。
子供がご主人の扶養になり、自分のみ加入する場合は約33,000円でした。
※保険料は、市町村によって違います。一例なので、実際の金額は市町村に確認してみてくださいね。

③被扶養者…

A子さんと子供が、ご主人の会社の健康保険の被扶養者になれるかどうかは、ご主人の会社に相談してみましょう。
「年間収入が130万円未満」という所得要件を満たす必要がありますが、この所得は「将来に向かっての見込み額」のことをいいます。
もし被扶養者になることができた場合、ご主人の保険料が増額になったりすることはありません。

2. 年金

A子さんの3月分の年金は、給与から天引きされています。
では4月の年金はどうなるでしょうか?
4/21から新しい会社に就職した場合は、新しい会社で保険料が天引きされます。
4/30から新しい会社に就職した場合も、新しい会社で保険料が天引きされます。

5/1に新しい会社に就職した場合は…
4月分の年金は、自分で納めなければいけません。
令和元年度の保険料は、16,410円です。

健康保険でも述べた「ご主人の扶養になる(第三号被保険者になる)」という方法をとれない場合、
国民年金に加入する」ことになります。

退職して国民年金に加入する場合、保険料の免除制度を受けることができます。
全額免除の申請をして保険料を納めなかった場合は…免除期間1カ月につき、約800円(年額・令和元年度)、老齢年金の受取額が減ります。

ちなみに、免除申請をしないまま保険料を支払わないでいると、未納1カ月につき、約1,600円(年額・令和元年度)の老齢年金が減るばかりか、
老齢年金、障害年金、遺族年金などが受け取れなくなる場合もあります。
保険料を支払えない理由があるのであれば、免除申請はしておくべきです。

まとめ

今回は、月の半ばで退職するケースについて考えてみました。
退職する月の社会保険がどうなるかは、会社の「給与締め日」や「退職日」がいったいいつなのかで変わってきます。
退職日が1日違うだけで、給料から2カ月分の保険料が控除されることだってあり得るのです。

後になって「しまった!」とならないよう、会社の総務担当者と相談するなどして、
退職日は調整しておきたいですね。みずきでした^^/